2021年09月02日

Accessory: 音声アシスタントに対応している多機能なネットワークスピーカー「Sonos One (Gen 2)」 with iOS VoiceOver

iPhone 12 Pro, iOS 14.7のVoiceOver環境で読み上げ操作を確認しています。s

高音質のネットワークスピーカーとしてアメリカでは人気のSonos社ですが、音声アシスタントに対応している製品がいくつか販売されています。
ここでは、Sonos One (Gen 2 第二世代)について紹介します。



Amazon.co.jp: Sonos ソノス One ワン Wireless Speaker ワイヤレススピーカー Amazon
https://amzn.to/2V3p5Rm

Sonos社の製品はiOSアプリで設定や楽曲を選んでの再生が可能で、アプリはVoiceOverに完全対応していることもあり、海外の視覚障害者にも人気のオーティオメーカーとなっています。

製品のセットアップやカスタマイズをするiOS向けアプリは二つリリースされていますが、2020年6月8日にS2とネーミングされたアプリがリリースされました。
今後の新しいサービスを利用できるアプリとなっています。

「Sonos」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/sonos/id1488977981

以前のアプリも引き続きダウンロードできるようになっており、新しいサービスには非対応の旧製品のカスタマイズができます。

「Sonos S1 Controller」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/sonos%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9/id293523031

また、WindowsやMacOS向けのアプリもリリースされており、イコライザー調整や楽曲の再生コントロールなどはスクリーンリーダー操作で可能です。

ダウンロード | Sonos
https://support.sonos.com/s/downloads?language=ja






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■1 Sonos Oneの特徴


Sonos製品は複数の種類のスピーカーを組み合わせることで、
  • ステレオサウンド

  • マルチルームミュージック(別の部屋で同じ音楽を同じタイミングで再生させることができる機能)

  • サラウンド環境

を構築できます。

スピーカーは本体の前側にあるので360度に音を拡散するタイプではありません。また、モノラルスピーカーとなります。

専用アプリを使うことで、登録した音楽配信サービスの楽曲を指定して再生することができます。

AirPlay 2対応なので、iOSやMacOSからのメディア音声をWi-Fi接続で再生するのには便利です。

音声アシスタントはAmazon AlexaとGoogle アシスタントのどちらかを選べるようになっていますが、日本ではAmazon Alexaにのみ対応しています。
一部の国や地域ではGoogle アシスタントを利用できますが、2021年8月末現在、日本では利用できません。

Amazon Alexaについては、
  • Echoシリーズのスピーカーなどと組み合わせてマルチルーム再生はできない

  • Alexaコール、Alexaの通話機能には対応していない

などのように、Amazon純正のEchoシリーズとまったく同じ機能が利用できるわけではないようです。

また、iOSやAndroidなどのスマートフォン向けアプリだけでなく、WindowsやMacOSにもアプリがリリースされているので、多くの環境で音楽の再生コントロールが可能です。
スクリーンリーダーに対応しているので、視覚障害者にとってはたいへん都合のよい製品であると言えます。

Wi-Fiネットワークに接続させる時に気をつけることとしては、2.4GHzに対応しており、5GHzにはつながりません。



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■2 製品の仕様


One | Sonos(ソノス)公式オンラインストア
https://www.sonos.com/ja-jp/shop/one.html

ワイヤレス接続
802.11b/g/nに対応。
802.11nのみのネットワーク構成には非対応。

電源
自動切換100〜240V、50〜60 Hz 1A AC 汎用入力。

寸法(高さ x 幅 x 奥行き)
6.36 x 4.69 x 4.69 インチ
161.45 x 119.7 X 119.7 mm

重量
4.08 lb
1.85 kg

動作温度
32o〜104oF
0o〜40oC

保管温度
-4o〜158oF
(-20o〜70oC)

Sonosユーザーガイド
https://www.sonos.com/support/ja/sonos-user-guide/index.html#t=sonos-user-guide%2Fsonos-one%2Fsonos-one.htm



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■3 本体の形状とボタンの位置


四角柱のデザインで、正面がスピーカー、背面がコネクタ類、天面にはタッチセンサーとなっています。
360度に音を拡散するタイプのスピーカーではありません。

本体の背面には、
上がWi-Fi接続ボタン(リセット時にも使用)
下がイーサネットポート
があります。
電源コネクタは本体の底面にあります。

天面にはタッチセンサーがあり、
・音量のアップダウン
・曲スキップ
・再生、一時停止
・マイクのミュート
・音声アシスタントの呼び出し
などができます。

また、天面には指で触って識別できるマークが2箇所あります。
中央部から後ろに向けて指を滑らせると、短い横長の切れ込みがあります。
横長の切れ込みからさらに背面に指を滑らせると、小さな点を触れることができます。
タッチセンサーを操作する時の目安になります。



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■4 セットアップ作業


Sonosアプリを使ってセットアップ作業を進めていきましょう。
Sonosアプリの初期設定や使い方については、別の記事で紹介しています。
すでにSonos製品を使用しているのであれば、Sonos Oneを新しい製品として追加するだけなので、登録作業は簡単です。

Sonosのネットワークスピーカーをカスタマイズするコンパニオンアプリ「Sonos S2」 with iOS VoiceOver: Voice_of_i 見えなくても使えるiPhone(ゲートウェイ)
https://voicei.seesaa.net/article/483167997.html?1630298962

製品の電源ケーブルをつなぎます。電源ボタンはないので、自動的に製品の電源はオンになります。

Sonosアプリを開くと、自動的に製品が検出されるかもしれません。
その場合は、
「接続する」ボタンを実行して、登録の手続きを進めていくことができます。

手動で追加登録する場合には、
Sonosアプリの「設定」タブを選択状態にして、
「システム」ボタンを実行し、
「製品を追加する」ボタンを実行して、登録の手続きを進めていきます。

1. しばらくすると、自動検出された製品名が表示されます。
「追加する」ボタンを実行します。

2. メッセージが表示されたら、Sonos One本体背面の「接続」ボタン、丸井くぼんだボタンを1回押します。
Sonos One本体からチャイム音がなり、しばらく待ちます。

3. Sonos製品をWi-Fiに接続するための画面が表示されます。
iPhoneが繋がっているWi-Fiネットワーク名が表示され、そのネットワーク用のパスワード入力欄が表示されます。
パスワードをタイプして
「接続」ボタンを実行します。
あるいは、別のネットワークを選択することもできます。

4. しばらく待ちます。
製品がWi-Fiネットワークに追加されると、設置場所の部屋名を指定する画面が表示されます。
ピッカー操作で選択状態にして、
「続ける」ボタンを実行します。
あるいは、
「新しい設置場所」ボタンを実行して、テキストフィールドに好みの名前をタイプすることもできます。

5. 製品のファームウェアの新しいバージョンが公開されていると、メッセージが表示されます。
「アップデート」ボタンを実行することで更新できます。

6. アップデートが完了すると、Sonos One本体から音がなります。
アプリでは
「完了」ボタンを実行します。


これでセットアップ作業は終了です。
この状態ではAmazon alexaなどの音声アシスタントを使用することはできません。
SonosアプリやAirPlay2経由で音楽を再生することができます。

音声アシスタントや音楽配信サービスを追加するには、アプリを使用します。

■3 Alexaを利用可能にする - Sonosのネットワークスピーカーをカスタマイズするコンパニオンアプリ「Sonos S2」 with iOS VoiceOver
https://voicei.seesaa.net/article/483167997.html#index3



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■5 タッチセンサーを操作する


本体の天面はタッチセンサーとなっていて、音量の変更や曲スキップなどができます。
タッチ操作は1本指で行います。
操作したことのフィードバックとしてビープ音が聞こえます。

●音量アップ
右側を1回タップ。
長押しすると、押している間は音量が大きくなっていきます。

●音量ダウン
左側を1回タップ。
長押しすると、押している間は音量が小さくなっていきます。

●曲の一時停止と再生
中央部から手前にかけての箇所を1回タップします。

●別の部屋で再生中の音楽に切り替える(グループ化)
中央部から手前にかけての箇所を長押しします。

●次の曲へスキップ
中央部で左端から右端に向けてスワイプします。
ビープ音は「ポ ポ パッ」と三つ聞こえます。

●前の曲へスキップ
中央部で右端から左端に向けてスワイプします。
ビープ音は「ペ ペ ポ」と三つ聞こえます。

●マイクのオンとオフ
後ろの箇所を1回タッチするごとに、マイクのオンとオフが切り替わります。
オンになるときのビープ音は「ポ パ」と、2回目のビープ音は高めの音です。
オフになるときは逆に「パ ポ」と、2回目のビープ音は低めです。
天面の中央部から後ろに向けて指を滑らせると二つの箇所を識別できます。横長の切れ込みと小さな点がありますが、小さな点よりも後ろの箇所をタッチするようにすると反応してくれやすいです。

●音声アシスタントの呼び出し
後ろの箇所を長押しします。
マイクがオフのときにも呼び出すことができます。



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■6 グループ再生


Sonosアプリを使えばグループ再生の指定をすることができますが、One本体のタッチ操作だけでも同じようなことができます。

他のSonos製品で再生中の音楽を、One本体でもグループ再生させることができます。

他の製品で音楽が再生されている時に、One本体の再生/停止の箇所を1秒ほど長押しします。天面の中央部から手前にかけての箇所です。
これにより、One本体からも同じ音楽が再生されます。

グループ再生中に再び再生ボタンの箇所を1秒ほど長押しします。
他のグループ製品では再生が継続していても、One本体での再生は停止します。

再びOne本体をグループ再生の一つに加えるためには、再生の箇所を1秒ほど長押しします。



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■7 本体をリセットする


Sonos Oneをリセットするには、

1. 電源ケーブルを抜きます。

2. 電源ケーブルをつないで、背面のWi-Fi接続ボタンを押し続けます。約10秒。
接続ボタンから指を離して、1回クリックします。チャイムの音が聞こえたら、リセットされてセットアップできる状態です。



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■8 関連情報



Accessory: Alexaに対応している多機能なネットワークスピーカー、サウンドバータイプの「Sonos Beam」 with iOS VoiceOver
http://voicei.seesaa.net/article/475576144.html?1591946972

Accessory: 音声アシスタントに対応しているポータブルで多機能なネットワークスピーカー「Sonos Roam」 with iOS VoiceOver
https://voicei.seesaa.net/article/483198636.html?1630469551



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2017年09月30日

(コラム) 日本ライトハウス展 2017でのアプリバトルを観覧して

(コラム) 日本ライトハウス展 2017でのアプリバトルを観覧して

2017年9月30日と10月1日、難波御堂筋ビルで開催されたのが、
「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2017」です。

視覚障害者向けの機器が展示されていたり、商品が販売されていました。
今年の出展ブースは44。
普段は触ることのできない製品が並んでいるので、実際にその操作性を確認するのには絶好の場となっています。

拡大読書機、
電子ルーペ、
点字ディスプレイ、
立体コピープリンタ、
音声ガイド付きテレビや電子レンジ、
遮光レンズ、

購入する予定がなくっても、実物を触ったり、最新情報を聞いて回っていると、いろんな発見をすることができたりします。
出展ブースのスタッフに商品の使い方や操作方法を尋ねている人、製品に対するリクエストやクレームを伝えている人など、そんな声を聞いているだけても、人はそれぞれ十人十色なんだなぁという気づきを得られます。


講演会も開催されていました。
土曜日の午前中は、スタジオギフトハンズの三宅琢さん、
日曜日の午前中は、理化学研究所の高橋政代さん、
が担当されておられました。


視覚障害者がステージに上がるコーナーも用意されていました。
iPhoneやAndroid端末で便利だと感じているアプリの紹介をする『アプリバトル』。
お気に入りの図書を紹介する『ビブリオバトル』。
それぞれ3名の発表者が観客に向けて暑く語っていました。

アプリバトルで紹介されたのは三つのアプリ。
簡単にそのアプリのことについて、発表者の使い方について紹介してみようと思います。







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■1 きけるおしながきユーメニュー


様々なジャンルの飲食店のメニューを閲覧することのできるアプリです。
有名チェーン店も含まれています。

きけるおしながきユーメニュー

発表者は男子学生。
ご飯を食べに出かけてもメニューをだれかに読んでもらわないといけない。
たくさんの種類があるお店では、せっかく読んでもらっても覚えきれない。
友達や先輩だと気を遣ってしまう。
家族に聞き返すと、
「ちゃんと覚えんかい!」
言い換えされてしまい、こちらとしては気分がよくない。

そんなストレスを解消してくれたのがこのアプリだったという訳です。
メニューの価格がわかっていれば安心して注文もできますしね!



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■2 Identifi


カメラで撮影した写真を認識処理して、何が写っているのかを教えてくれるアプリです。

iDentifi- Object Recognition for Visually Impaired

発表者は若い女性。
カメラ機能を普段の生活の中で、楽しみながら活用しているようです。
食べ物の写真を撮影して記録したり友達にシェアしたり。

コミュニケーションで大きな役割を果たしている写真。
画面がはっきり見えていない人でも、まったく見えていない人でも、自分が映した写真をSNSにアップロードすることは当たり前になってきています。
そんな時に、ちゃんと写したいものが写っているのかどうか、そんな目的でもこのアプリは活用できます。
また、友達が送ってくれた写真を読み込んで認識させることもできます。

インスタ映えする写真を撮る練習にもなりそうですね。



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■3 画像、写真から文字を認識するOCRアプリ


スマートフォン向けにもOCRアプリはたくさんリリースされていますが、紹介されたのはKen Shinozakiさん開発のOCRアプリです。

画像、写真から文字を認識するOCRアプリ

発表者はバリバリと仕事をこなしていそうな男性。
仕事先で名刺をもらったり資料をもらったり、外出先でそれらを確認したい時にはこのアプリが活躍しているそうです。
また、飲食店のメニューを確認する目的でも使われているそうで、おかげで知らない土地の居酒屋にも、安心してぶらりと立ち寄れるそうです。

このアプリは視覚障害ユーザーの間では認識率がよいということで有名ですね。
iOS版だけでなく、Android版もリリースされています。
どちらも音声読み上げ機能を利用して使えます。

開発者はご存じでしょうか?
視覚障害ユーザーは、このアプリで大いに助けられているんです!



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■4 結果発表


発表者のプレゼンだけでなく、司会者の軽妙なトークで発表者のパーソナリティを垣間見ることもできました。

観客からの投票で優勝者が決まります。
投票用紙は点字と活字で用意されていました。
点字の投票用紙で工夫されていたことは、発表者の前に書かれた点字のマークを消せば、その人に投票できるという仕組み。
活字の投票用紙で工夫されていたことは、発表者部分に貼られたシールを剥がせば、その人に投票できるという仕組み。

準備されていた投票用紙が足りなかったようなので、予想よりもたくさんの観客が来場していたのかもしれません。

結果、優勝は、
O
C
R




3番目に発表されていた男性と決まりました。

おめでとうございます!!

アプリの開発者さんもおめでとうございます!!


同じアプリであっても、その使い方や用途は人それぞれ。
3名の個性ある使い方はたいへん興味深かったです。


さて、次にアプリバトルが開催されるとしたら、どんなアプリが登場するんでしょうね。
今度は天下一部同会のように、プレゼンをスタートさせる時には銅鑼を鳴らして盛り上げてほしいかな。



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■5 関連情報


飲食店のメニューをさささっと呼び出せる「きけるおしながきユーメニュー」 with iOS VoiceOver
http://voicei.seesaa.net/article/446278620.html?1507468221

物体を認識して、その結果を読み上げてくれる「iDentifi」 with iOS VoiceOver
http://voicei.seesaa.net/article/454034844.html?1507467581#index4

認識率がグレートだと紹介されている文字認識アプリ「画像、写真から文字を認識するOCRアプリ」 with iOS VoiceOver
http://voicei.seesaa.net/article/444264690.html?1507468683

点字毎日:今秋も「日本ライトハウス展」 過去最多の44社・団体 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170817/ddw/090/020/006000c

視覚障害者の生活支える 日本ライトハウス展 - 大阪日日新聞
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/171001/20171001036.html


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2016年11月05日

(コラム) 音声ガイドを聞きながら映画鑑賞 -- どこでもユニバーサル上映を体験させてくれるUDCastアプリ

日本ライトハウス情報文化センターで定期的に開催されているICTサロンですが、今回はUDCastアプリの体験会でした。

このアプリを使えばバリアフリー上映されていない映画でも、音声ガイドや字幕を確認しながら映画鑑賞できるようにしてくれるのです。

バリアフリー映画の上映会では、視覚障害者向けに音声解説が用意されて、聴覚障害者向けには字幕が用意されています。
つまり映画を見ながらFMラジオやスピーカーで音声解説を聞くことのできる上映会、これが各地で開催されているのです。
障害者関連の施設や図書館をはじめ、映画館でも催されています。

音声解説する人のことを英語ではオーディオディスクライバー、Audio Describerと表現するそうです。
オーディオディスクライバーが読み上げてくれた声を録音して会場で流すこともあれば、まるで弁士のように生で解説を聞かせてくれることもあります。

バリアフリー上映は特定の日時に限定されることが多いので、気が向いた時にぶらりと出かけて音声解説付の映画を楽しめるというわけではありません。


そこで考え出されたのがUDCastアプリです。
iOS用とAndroid用のアプリがリリースされています。
もし公開中の映画がUDCastに対応していれば、音声ガイドや字幕のデータをスマートフォンにダウンロードすることができます。
そして、映画館で上映されている映画とその音声ガイドはシンクロして、そのシーンにあった音声解説をイヤホンから流してくれます。

仕組みとしては、映画作品の中に埋め込まれた音声透かしの信号をスマートフォンのマイクがキャッチして、そのシーンにあった音声ガイドを再生してくれるというものです。
この音声信号は人の耳では聞こえない周波数を利用していて、元々は映画泥棒対策として仕様されている技術なのだそうです。
もし映画泥棒が映画館でビデオや音声の隠し撮りをした場合、音声透かしにはどの映画館で収録されたものなのかが分かるようになっているのだそうです。

UDCast対応の映画作品には本編内にこの音声透かしが埋め込まれているので、たとえばDVD化された場合でもUDCastアプリを使って音声ガイドを聞くことができます。
また、テレビ放送された場合でも聞けるわけですが、テレビの場合は時間短縮されたり途中でCMが入ったりするので、音声ガイドと実際の映像にずれが生じてしまいます。その場合は一度音声ガイドを終了させて、再び再起動すればよいとのことです。そうすることで、リアルタイムのシーンの音声透かしをキャッチして的確なタイミングで音声ガイドを聞けるようになります。

UDCast対応の映画の第一号は2016年夏に公開された
NEWS | ONE PIECE FILM GOLD(ワンピースフィルムゴールド)
http://www.onepiece-film2016.com/news/1217.html
です。



ICTサロンの体験会で上映されたのは『起終点駅 ターミナル』という作品のDVDです。
UDCastを利用するには、
アプリのダウンロード、
目的の作品の音声ガイドのデータのダウンロード、
これらが必要です。

映画館で使う場合、頭に入れておくこととしては、
電話や通知に邪魔されないように機内モードにする。
ディスプレイの光が迷惑にならないようにスクリーンカーテンをオンにする。
周りの人に聞こえない程度の音量に調整する。
などでしょうか。


作品が始まる前にアプリ上の音声ガイドボタンを実行しておきます。
待機状態では説明の音声が再生されます。
実際に映画が上映されると、音声透かしをマイクが拾って、音声ガイドが聞こえてきました。

個人的には音声ガイドが聞こえてきたことよりも、スマートフォンのマイク感度ってかなりよいんだなぁという点に感心させられました。


音声ガイドについては、これまでに何度かバリアフリー映画の上映会に参加したこともあるので大きな驚きはありませんでした。
それよりも、どこにでもある映画館に出かけて、いつでも観たい時に映画を楽しむことができる、こういう気軽さはうれしいことだと感じました。


UDCast対応の映画作品はこれから数多く登場するそうです。
日本の代表的な映画製作会社の作品はその傾向にあるようです。
逆に言うと海外の映画製作会社の作品は対応することが期待できないのかもしれません。


UDCastアプリが提供するのは、字幕や音声ガイドだけではありません。
外国人向けに外国語の字幕を提供したりする用途にも利用できるのだそうです。

また、UDCastに対応した映画に『だれかの木琴』という作品がありますが、音声ガイドの原稿を書いているのは映画監督である東陽一さんご本人なのだそうです。
もしかすると本編では伝えきれなかったことを音声ガイドの原稿で表現しているのかもしれません。

音声ガイドは視覚障害がなくっても、映画通の人にとって違う味わい方をさせてくれる役割を果たしてくれるかもしれません。

UDCastは今後の普及に大きな期待が持てるシステムだと感じました。
視覚障害者が近くの映画館にいつでも出かけることの時代、友人に誘われても同じように映画作品を楽しむことのできる日常が近づいてきていますね。

ちなみに河瀬直美監督の次回作品にはオーディオディスクライバーが登場します。

河瀬直美監督×永瀬正敏のタッグ再び、新作『光』2017年公開 - 映画・映像ニュース : CINRA.NET
http://www.cinra.net/news/20161031-hikari



■ 関連情報



視覚障害者向けに音声解説を、聴覚障害者向けに字幕を提供する活動を行っています。
NPO法人メディア・アクセス・サポートセンター MASC 日本語字幕と音声ガイドで感動をみんなのものに!
http://npo-masc.org/

UDCastのページ。対応作品などを確認できます。
Top of UDCast
http://udcast.net/

UDCastのプロモーション動画を視聴できます。
日本ライトハウス情報文化センター − アプリで聴く音声ガイド付き映画鑑賞 〜UDCastの使い方
http://www.iccb.jp/udcast/

京都でバリアフリー映画上映に取り組んでいるグループ。
京都リップル-ホームページ-
http://kyoto-ripple.sakura.ne.jp/

音声ガイドの台本作りのコツが紹介されています。
京都市:「ユニバーサル上映をつくろう」(HTML版)
http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000061325.html

いつでもバリアフリー上映をしている映画館
CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)
http://chupki.jpn.org/

UDCastアプリをVoiceOverで仕様することについてまとめたここのブログ記事です。
映画館で音声解説を聞きながら作品を味わい深くしてくれる「UDCast」
http://voicei.seesaa.net/article/444802498.html

2016年10月25日

(コラム) 今頃になって視覚障害者が使える腕時計にルネッサンス時代がやって来た!!

Apple Watchは目の見えない見えにくい人たちの間でも注目を浴びています。

おしゃれなデザインの音声時計として、さらには正確な時刻を通知してくれる腕時計として受け入れられてきています。
そして、watchOS 3からはタプティックタイムにより時刻を振動で知るという方法も加わりました。


これまで視力を使わずに時刻を知ることのできる腕時計の方式には、触知式と音声読み上げ式の2種類がありました。

触知式はアナログ時計のデザインで、蓋を開けて長針と短針を指で触って時刻を確認します。
音声読み上げ式は主にデジタル時計のデザインで、ボタンを押すと現在時刻を声で読み上げてくれます。

それぞれに長所と短所があります。

触知式の長所は、
・瞬時に時刻を確認することができる。
・周囲が騒がしくても確認できる。

触知式の短所は、
・指の鋭敏な感覚が求められる。
・針を意図せずに動かしてしまいやすいため、正確な時刻かどうかは分かりづらい。
・静かな環境では蓋を開け閉めする音が気になる。
・時計の盤面は指で直接触るために汚れやすくさびやすい。
・ほとんどの製品にはアラーム機能などは無し。

音声読み上げ式の長所は、
・読み上げる声を聞き取るだけなので、多くの人が利用しやすい。
・間違えたボタン操作をしなければ正確な時刻を知ることができる。
・アラームやストップウォッチなどの機能が搭載されている製品が多い。

音声読み上げ式の短所は、
・静かな環境では、読み上げる声が周りの人に聞こえてしまうので利用しにくい。
・騒がしい環境では、腕時計を耳に近づけないとその声が聞こえにくい。

どちらのタイプの腕時計も、そのデザインに満足している人は少ないかもしれません。
なぜならば製品の選択肢が多くはないからです。


Apple Watchはといえば、色のバリエーションやバンドの種類が豊富です。
そして、視覚障害があるなしにかかわらず、多くの人が身につけたいと思っている一般の製品です。
このような特徴が注目を浴びる大きな理由となっています。



しかし最近になって、目の見えない見えにくい人のために開発されている腕時計にも新しい方式やデザインのよい製品が登場してきています。

先日開催された
日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2016
http://www.iccb.jp/nl2016/
では二つの腕時計が展示されていました。


ラビット|視覚障害者用支援機器販売・サポート
http://rabbit-tokyo.co.jp/
こちらの会社では海外製の二つの腕時計を販売する予定だそうです。

一つはBradley MESH。
針の代わりに小さなボールを触って確認する触知式の腕時計。
Bladleyにはいくつものシリーズがありますが、1種類だけを取り扱う予定だそうです。

日本ではこちらの代理店のみがすでに取り扱っています。
Eone | Designed for everyone - Eone | Designed for everyone | ブラッドリータイムピースは触る時計です。
http://eone-time.jp/layout/basic/shop.html


もう一つはオーストリア性の振動式腕時計、ルネッサンス。
この腕時計、髭男爵もびっくりするに違いありません!

この腕時計を見て私はかなり感動しました。
理想的な振動式腕時計だと感じたからです。

CareTec - Products for the Blind and Visually Impaired: RenaissanceR
http://www.caretec.at/Products.31.0.html?&cHash=b6897bcc3648e6b48a306317f7bd36f4&detail=3391

ルネッサンスには四つのボタンがついていて色はシルバー。

一つのボタンは、
1回クリックで分、2回クリックで時、3回クリックで秒を振動で伝えてくれます。
もう一つのボタンでは、
1回クリックで曜日、2回クリックで日、3回クリックで月、4回クリックで西暦の下二桁を振動で伝えてくれます。

その他の機能には目覚ましアラーム。
発売元のケアテック社のHPによると、同社の製品である音声キッチンスケールのハイジの計測データを無線転送してくれて、その数値をルネッサンスが振動で教えてくれるという機能もあるみたいです。
日本では販売されていないと思いますが、関連製品には体重計もあるようです。

はたして日本では関連製品のデータを無線で転送できるかどうかはわかりませんが、これは盲聾の人にとってかなり魅力的な腕時計なのではないかと思います。

最近は振動で時刻を知らせてくれる時計がいくつも登場しています。
腕時計型では、限定発売されていたTissot社のSilen-tがありました。
それからスイスのAlexandravision社のメテオ。
日本のアイスマップ社のタックタッチ。
アップル社のApple WatchはWatchOS3になりタプティックタイム機能が加わりました。

振動式の腕時計の長所は、
・静かな環境でも騒がしい環境でも時刻を確認できる。
・正確な時刻を知ることができる。

振動式腕時計の短所は、
・瞬時に時刻を知りたくても、振動の回数を数えるまで確認できない。


興味深かったのはルネッサンスの振動パターン。
二つのパターンがあります。
短いのが1を表し、長いのが4です。

メテオでは長いのは5を表し、Apple Watchでは10を表します。

これらの違いは数字の9を表す時にはっきりします。
Apple Watchでは、短いのが9回。合計9回の振動。
メテオでは、長いのが1回、短いのが4回。合計5回の振動。
ルネッサンスでは、長いのが2回と短いのが1回。合計3回の振動。

つまり数字の9を手短に教えてくれるのはルネッサンスということになります。
予定されている販売価格はちょっとお高めなので、どれだけ売れるのかはわかりませんが、注目間違い無しの腕時計だと思いました。

11月に東京で開催されるサイトワールドには4セルの点字ディスプレイを搭載した
Dot watch
http://www.dotincorp.com/
が出展するようですね。


日本では出回ってないようですが、触知式と音声読み上げ式が一つになった腕時計をReizenというメーカーは発売しています。

それぞれに一長一短はありますが、このように新しい方式であったりデザインを追求した製品が登場してくれるのはうれしいことです。

posted by @voice_of_i at 01:24| Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月10日

(コラム) イメージを手のひらに -- 「第12回 視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室」に参加して

晴れた空、
そよぐ風、
降り注ぐ虹色の雨、

私たちの周りには色鮮やかな風景が広がっています。
思わずパチリとカメラで撮影して、それを友達に自慢したり、思い出写真として自分で後から振り返る、そんな人たちは多いのではないでしょうか。

それらは目で見て楽しむものですが、最近では目の見えない見えにくい人たちにとってもカメラや写真は身近な存在になってきています。


2016年4月十日、井の頭公園にて「第12回 視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室」が開催されました。写真家の尾崎大輔さんが主催するイベントで、参加した視覚障害者は19名。それぞれにガイドがつき、活気のある一日となりました。
小さな子供といっしょに参加している家族や、生かしたショットを探して遠出しているベテラン風の人など、集まってきた人たちはさまざまでした。

第12回 視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室■2月25日10時41分
http://ozakiphoto.exblog.jp/22918531/


自分が撮影したい写真のテーマや構図をガイドに伝えると、それに当てはまる景色を見つけてもらえます。

私のテーマは生き生きとした自然の風景。風の動きや光のきらめきが感じられるような写真を撮りたいと思っていました。それをガイド役の人に言葉で伝えるのはなかなか難しく、そしてパートナーはそれを理解してスポット探しをするのはたいへんだったと思います。さらにそのシーンを言葉で描写してもらい、イメージを膨らませることになるので、お互いの想像力が発揮されます。

樹木

「池の水面に桜の花びらが浮かんでいますね」という説明を聞いて、私の頭の中では美しい絵が描かれていきます。しかし、「花の色はくすんでいるのできれいといえるものではないですねぇ」という言葉により、イメージの中の薄ピンク色の花びらはどんどん薄汚れていきました。

すると、写真部に所属しているという高校生から「こんな時は白黒で撮影すると雰囲気のある写真になりますよ」というアドバイス。私の絵はしゃれたセピア色に変わり、パシャリとiPhoneの中に封じ込めたのでした。

池の水面


写真を撮影するのは視覚障害を持つ人だけではありません。
このイベントでは、晴眼者(目の見えている人)にも普段と違った感覚で写真を撮ってもらおうという試みがされています。
アイマスクを着用して参加している人からは興味深い体験談を聞くことができました。
普段は意識していない足の裏からの感覚が敏感になったり、太陽のある方向を暖かさで感じたり、周りの音がよく耳に飛び込んできていたようです。


公園内での撮影は午前中に行われ、その中から3枚を選別して印刷しました。昼食の後は講評会。動物や花の写真、女子会の様子や獅子舞の演技など。「人の顔が写っていると暖かみが感じられる」、そんな印象的な感想も聞けました。

花

参加者たちは好きなカメラを持参していたようですが、中には一眼レフカメラを愛用しておられる人がいたのには驚かされました。普段写真を撮る目的も様々で、子供の成長記録、度の思い出、芸術的な作品作り、SNSへのアップロードなど。

そうです。パソコンやスマートフォンを使えば、見えなくてもFacebookやTwitterに簡単にシェアできるのです。
Facebookでは自動的に写真の内容を分析してタグ付けしてくれる機能が用意されているので、具体的なイメージは浮かべることはできないものの、なんとなく画像も一つのデータとして味わうことができるようになっています。
特定の人にLINEで写真を送信することで、それがなんの写真かを教えてもらう。そんな使い方をしている人もいるそうです。


写真にはその瞬間の光景が記録されている他に、思い出話に花を咲かせる効果もあるようです。
実際に写真その物を視覚的に見ることができなくても、自分が撮影した時の記憶を呼び戻すことで、ひと味違った楽しみ方もできることでしょう。


この写真教室のおもしろい点は、3枚の写真のうち2枚を立体コピーにかけてくれて、指先で触れるようにしてくれることです。私の撮影した噴水がどんな風に浮き上がってくるのか、心待ちにしています。

噴水

第12回視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室の報告・感想■4月14日7時51分
http://ozakiphoto.exblog.jp/23065480/

今年の秋は東京の王子駅近くにある飛鳥山公園で開催予定です。

第13回視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室のご案内
http://ozakiphoto.exblog.jp/23449275/


永久保証の彼女の顔やこぶし咲くあの丘、

そんな目の前に輝く景色を撮りに出かけてみるのもよいのではないでしょうか。



尾崎大輔オフィシャルサイト
http://www.daisukeozaki.com/

iPhoneのカメラや写真と仲良く付き合う
http://voicei.seesaa.net/article/437211478.html

iOS 10の写真アプリ、人の顔を見分けて分類してくれる機能「ピープル」
http://voicei.seesaa.net/article/442222107.html

posted by @voice_of_i at 17:00| Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする